カー用品店やネットショピングでも数多くのエンジンオイルが販売されていますが、同じ粘度、同じグレードでも価格の違いがあります。
安いエンジンオイルと高いエンジンオイルは、一体何が違うのでしょうか?
結論から述べますと、以下の違いを挙げることができます。
- 性能の違い
- 品質の違い
当然ですが、安いものの方が性能、品質共に劣る傾向にあり、ものによっては長期的に車に悪影響を与える場合がありますので、セール品を除き安物のエンジンオイルは個人的にはオススメしません!
とはいえ、具体的にどのように品質が異なり、性能の違いが出るのか?
この記事では、以下の点についてまとめています。
- 価格に違いは、品質にどのように表れるのか?
- 価格の違いは、性能にどのように表れるのか?
是非参考になさってください。
2級自動車整備士として約20年に渡り、車に関わってきた者としての観点で情報をお伝えします。私自身まだまだ勉強すべき事が沢山ありますが、参考にしていただければ幸いです。
- 安いオイルと高いオイルの違いについて知りたい
- どんなエンジンオイルを買おうか迷っている
- 車を長く大切に乗りたいと思っている
ベースオイルの価格の違いと性能と品質
まずエンジンオイルは純粋なオイルだけ構成されているわけではありません。
ベースオイルと添加剤を組み合わせたもので、成分の約80%を構成する『ベースオイル』と、残りの約20%を構成する『添加剤』からなります。
エンジンオイル =ベースオイル(80%)+添加剤(20%)
それで今回はベースオイルと添加剤とに分けて考えてみたいと思います。
価格:ベースオイルの種類による違い
それで、約80%を構成する『ベースオイル』の種類によってそもそも価格の違いが生じ始めます!
ベースオイルは、精製方法などから5種類のグループに分けられています。
図の様にグループの数字が大きいベースオイルを使用していると必然的に高価なものになります。
合成油に関する詳細は下記の記事を参考にしてください
では、実際の価格の違いはどのようなものとなるのか
オイルメーカーGULFを例に、鉱物油、合成油、化学合成油のそれぞれの金額を比較したものを下記の表にまとめてみました。
※ 20Lペール缶の比較になります
G u l f | ||||
商品 | BLAZE | No.1Pro | GT20 | ProTEC |
成分 | 鉱物油 | 合成油 | 化学合成油 | |
価格 | ¥11700/20L | ¥13800/20L | ¥21000/20L | ¥28200/20L |
- ProTECはGr4以上を使用したPAO、エステルベースのオイル
- No.1pro、GT20はGr3にPAOやエステルを使用
- BLAIZEはGr2メインの鉱物油
どんなベースオイルを使用するかで、価格が違ってくることが表からもお分かりいただけると思います。
もちろんそれぞれ用途も違いますので、必然的に添加剤も異なったものがブレンドされる事になり、この点でも価格の違いは生じますが、ベースオイルに関して言えば,鉱物油(グループ2のベースオイル)なのか、合成油(グルーブ3のHIVIメイン)なのか、化学合成油(グループ4,5のPAOやエステル)なのかで、安いエンジンオイルと高いエンジンオイルの違いが生じます。
もちろん値段の違いだけでなく、オイルの品質、性能の違いを生じさせるものとなります。
品質:不純物の含有量の違い
エンジンオイルは原油から作られますが、精製方法により不純物の量が異なり、化学合成油になると不純物はほとんど含まれなくなります。
オイルに含まれる不純物は、ゴミが多いというものではなく、環境やエンジンにとって悪影響を及ぼす硫黄などの物質ですので、当然不純物が含まれていないエンジンオイルの方が車にも環境にも優しいと言えます。
性能:粘度指数の違い
粘度指数とは…温度による粘度変化の度合いをあらわしたもので、数値が大きい方が変化の少ないエンジンオイルに適したオイルと言えます。
オイルは温度が高いと柔らかくなり、逆に温度が低いと硬くなってしまいこれでは油膜切れを起こしやすくなったり、寒いとエンジンの始動性が悪くなってしまいます。
それでエンジンオイルの理想はと言いますと、どんな温度でも粘度の変化が少ないことを理想とします。
この粘度変化を数値で表したものを粘度指数(VI)といい数値が大きいほど粘度変化の少ないエンジンオイルに適したベースオイルとなります。
上記の表のようにGr3までは粘度指数の基準が設けられていますが、Gr4,5に関しては数値化されていません。
とはいえ、Gr3以上になると粘度指数160とか、200近いものまであり、Gr2と比較すると2倍以上の性能を持っている事になります。
耐熱性が高いほど劣化しにくく、性能の高さは品質の良さにもつながる!
添加剤のよる価格の違いと品質と性能
添加剤はエンジンオイルにおいて非常に重要な役割を担っていて、以下のようなものが含まれています。
酸化防止…オイルの酸化による劣化を防ぎ、ロングライフを実現
摩擦調整剤…エンジン内部の金属間の摩耗を抑える
防錆剤…エンジン内部の錆を防ぐ
清浄分散剤…ススやスラッジを油中に分散させ、ピストンやエンジン内部をきれいに保つ
粘度指数向上剤…油温が高いときも粘度を維持する
流動点降下剤…流動点を低下させ,低温時でも流動性保ち,潤滑油の適用温度範囲を広げる。
消泡剤…オイルパンの油面の泡を、すみやかに消す
添加剤には、ベースオイルだけでは足りない、性能を補う重要な役割があります。
価格と品質:同グレード動粘度でも違うエンジンオイルの値段
当然ですが全てのオイルメーカーが、オイルを精製段階から作っているわけではなく、精油会社からベースとなるオイルを購入し独自に添加剤を配合しているメーカーも存在します。
そこからさらに、開発費用などもオイルの販売価格に反映されます。
つまり、エンジンオイルの販売価格を抑えるとなると、開発費用や添加剤でコストを削減することになってしまうのです。
- ベースオイル(購入又は精製)
- テストなどの開発費
- 添加剤に価格コスト
エンジンオイルを安く販売するには、主に開発費や添加剤にかかるコストを抑える必要がありここに同じGr3の化学合成油であったとしても、大きな価格差となって現れると言えます。
安いエンジンオイルは開発費、添加剤などのコストカットが行われており、同じベースオイルでも、品質は同じではない!
まとめ
安いオイルと高いオイルには金額だけでなく、品質、性能がなぜ違ってくるのかお分かりいただけたと思います。
高ければ良いというわけではありませんが、品質、性能に見合った金額のエンジンオイルを選ぶようにお勧めします。
特に合成油、化学合成油、HVIV,syntheticなどと表記のあるしっかりしたブランドのエンジンオイルを選びましょう!