故障修理

ZVW30プリウスで異音発生!? 車高調の異音の原因と対策方法!

今回はZVW30プリウスに車高調取り付け後に発生した異音のトラブルについて原因と対策方法をまとめました。

サスペンションからの異音トラブルはわりと多いですが、今回の異音の原因はこれまで経験したことのないもので、原因を突き止め、異音防止のための対策に非常に苦労しました。

なんとか試行錯誤し、異音はおさまったので、その時の原因の追及と対策をシェアしたいと思いますので、車高調に交換して異音に悩んでおられる方がおられましたら参考にしていただければ幸いです。

まず異音の発生状況なのですが、TEINのフレックスZを取り付けたのですが、   ハンドルを切るとフロントからゴンゴンというような感じの異音   がするようになりました。

車高調に関しては以下の記事を参考になさってください。

https://mycar-labo.com/30purius-tein-torituke/

考えられる原因

異音の原因として考えられる要因をざっくり以下に挙げてみました。

考えられる原因
  • 1G締めをしていなかった事による摺動部分のねじれ
  • プリロードのかけ過ぎによる異音
  • スラストベアリングの不良によるバネのねじれ音
  • 各部ボルトの緩み
  • ショックアブソーバーのヘタリ
  • 各ロックシートの緩み

これらが車高調を交換したときによくある異音の原因としてあげることができると思います。

上記の原因を考慮しながら、異音が発生するタイミングを確認し、原因となっているパーツを絞り込んでいきたいと思います。

トラブルシューティング

1G締めとプリロード

とりあえず、”1G締め”を行っていなかったので、フロント、リヤのアーム類を1Gで締め直し、スプリングのプリロードの確認を行いました!

残念ながらこの2つの要因で異音が発生していた訳ではなかったようで、状況に変化はありませんでした。

原因の絞り込み

さらに原因を探るべくまず、どのタイミングで異音が発生しているのかを確認してみましたところ、以下のような状況でした。

症状が出るタイミング
  • ステアリングを切ったときにゴンゴン、という響く音
  • 走行中も停車時でもハンドル操作時に音がなる
  • 直進時には全く異音は発生しない

異音が発生するタイミングを考慮すると以下に挙げる部分が怪しいのでさらに絞り込んでパーツをチェックしていきます。

スラストベアリング

役割:ねじれ方向に発生する力(動き)を吸収

ストラット式のサスペンションはナックアームとサスペンション本体が連結されているために、ハンドル操作時に一緒に動いてしまいます。

しかし、サスペンション上部のアッパーマウントはボディーに固定されているため、ねじれ方向に発生する動きを吸収してあげる必要があり、その役目をスラストベアリングが担っています。

考えられる原因:スラストベアリングの動きが悪くなっている場合、回転方向に発生する力を吸収できず、バネがねじれ弾かれるように擦れてしまうために異音が発生している。

ブラケットロック

役割:ショックアブソーバーを固定するためのもの

フルタップ式車高調の場合、ショックアブソーバー本体にネジ山(おねじ)があり、ロアブラケットにもネジが(めねじ)が切られており、これにより車高を調整できる機構になっています。

ショックアブソーバー本体が上下に動くことで車高を調整する機構ですが、当然走行中は動かないようにする必要があります。ロックシートはロアブラケットにアブソーバーを固定する役目を担っています。

考えられる原因:このブラケットロックはよく緩むことがあるようで、ハンドルを動かすとショックアブソーバー自体が動いてしまい、異音が発生

部品単体のチェック

スラストベアリングのチェック

上の画像のように、スプリングを全下げし、スラストベアリングがフリーになるようにします。

手で動きをチェックしたところ、スムーズに回転し特に問題は無さそうでした。

スラストベアリングは、みた感じの構造からも分かりますが、接触ゴムシールで中身が密閉されているため、ホコリや水も入りにくく、そう簡単には壊れそうにない部品であることが分かりました。

部品代も高そうなので、スラストベアリングが原因じゃなくて良かったような…でも、原因を特定に至らず、 残念な気もする… という心境です。

ブラケットロックの緩みチェック

ブラケットロックが緩んでいないかチェックしましたが、大きな緩みはなく手では動かないくらいには締まっていました。

怪しい所は、チェックしましたがこれと言って異常を見つけることはできませんでした。 

お手上げです!

異音のボリュームもかなりはっきり聞こえるくらいなので、原因も簡単に分かるかと思いましたが、全然分かりません (T . T)

なので、最後の手段を使うことにします!

TEINに電話して聞いてみる

最後の手段… 教えてくれるかわかりませんがテインに電話して聞いてみることにしました。

自分
自分
かくかくしかじかで、こういう症状が出ているのですが…

テイン
テイン
その症状だと、おそらくブラケットロックですね

テイン
テイン
車高下げたりしましたか?

自分
自分
はいさげました

テイン
テイン
ブラケットロックは何N.mで閉められましたか?

自分
自分
え? え〜と、ちゃんと閉めたと思います(💦)

テイン
テイン
その症状ですと、ブラケットロックが 規定トルクで締まってない事が原因という事がよくありますので

自分
自分
ありがとうございました。一度確認してみたいと思います

という、感じで情報をご親切に教えていただくことができました。

TEINの回答

症状から考えられる原因はブラケットロックの締め付け不良

前回のチェックでブラケットロックが緩んでいないかは簡易的に確認したものの、規定トルクで閉めたかどうかは自信がありません!(笑)

TEINの回答を踏まえて、もう一度チェックすることにしました。

再度ブラケットロックのチェック

調べてみると、プリウスの場合のブラケットロックの締め付けトルクは137.3±4.9N.mであることが分かりました。

車高を調整したときに120N.mでは閉めた記憶があったので、正直「20N.mもないくらいの差でこんなに異音が出るか?」と思っていましたが,ロックシートを一度緩めてみると、下の画像の様に汚れやらオイルやらでかなり汚れていることが分かりました。

汚れや、油分も一役買って、しっかりロックできず、ショックアブソーバーが動いて異音が発生してしまうという原因につながっていたのかもしれません。

 

ブラシとパーツクリーナーで清掃し、なるべく”すべり“が生じない様にして、規定トルクで締め付けチェックしました。

ブラケットロックの締め直しと、清掃を行ったのち走行テストを行いましたが、異音の発生がかなり減少していました。

残念ながら完全に、解消とまでは行かなかったので再度、増し締めし170N.mで締め付けてみました。 (あまり強く締めるとロックシートが割れることもある様なので、ご自分の車で増し締めする場合は、オーバートルクに気をつけ自己責任でお願いします)

今回分かったこと

TEINの取扱説明書を見てみると、ブラケットロックの締め付けトルクは約140N.mのようで、マルチリンクやダブルウィッシュボーン式の車高調と比べると倍以上の締め付けトルクであることが分かりました。

また、厚めのスプリングワッシャーも使用され、緩み防止の手段が講じられていることが分かります

異音の根本原因とまとめ

今回の異音の原因
  • ブラケットロックのトルク締め付け不足
  • ネジ部の汚れ油分も滑りの原因となっていた

まず、トルク管理は大切であることを痛感しました。 締めたつもりではなくキチンと確認しなくては、迷宮入りしてしまう所でした。 (反省💧

メーカーではショックアブソーバーがステアリングを切ったときに動いてしまうことによる異音や、ロックシートが緩むことをなるべく抑えるために、スプリングワッシャーを使用したり、締め付けトルクを高く設定している様です。

規定トルクも他の形式のサスペンションと比較するとかなり2倍以上高く設定されていることから、ストラット式の車高調は異音が発生しやすいと言えると思います。

もし、車高調の異音に悩まされている方がおられましたら、一度ブラケットロックをチェック!してみてください。

今回も最後までご覧いただき有難うございました。

 

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