今回は、車検費用を通常の車検よりも格安に抑えられる、自分で車検を通すユーザー車検の方法についての情報をお伝えしたいと思います。
「自分で車検なんてできるんだろうか?」「いくらくらい節約できるのか?」と思われる方も多いと思います。
自分で車検するとなるとハードルが高いように思えますが、実はポイントさえわかっていればユーザー車検は誰でも意外と簡単にできるものなんです!
それで今回は、「ユーザー車検その①」として車検をスムーズに行うために非常に重要な、車の状態の事前チェックと整備についてお伝えしたいと思います。
2級自動車整備士として約20年に渡り、車に関わってきた者としての観点で情報をお伝えします。私自身まだまだ勉強すべき事が沢山ありますが、参考にしていただければ幸いです。
ユーザー車検とは
ユーザー車検という言葉をお聞きになったことがあるかもしれません。
これは時の如く、車のユーザー、つまり使用者(所有者)が自ら車検を行うことです。
車検を「通す」という表現がよく使われていますが、これは各都道府県の陸運支局に車をもって行き、”検査ラインを通り“検査員の方に点検検査を行ってもらいます。
そして、全ての検査に合格すれば、また2年間の公道での使用が許可される事になります。
ユーザー車検は誰でも出来る
ユーザー車検では、ユーザー(私たち)は車に乗り、検査員の指示や機器の表示に従って、ハンドルやブレーキの操作、ライト類の点灯などを行うことになるので、何も難しいことを行うわけではなく、車を普通に運転できれば誰でも行うことができます。
このユーザー車検は何も特別なことではありません。
なぜなら日本では、車は基本的に所有者や使用者自身が安全に運行できるように点検整備を行うように決められているからです。(道路運送車両法第47条の2, 自動車点検基準第1条)
これには日常的に車を乗る前に行う日常点検整備や、車検などの定期点検整備(6ヶ月,12ヶ月,24ヶ月点検)が含まれています。
つまり、”基本的に自分で車検整備を行う“ということになります。
自分でやれば安いがお店にお願いすると高い
しかし、実際には知識やメンテナンスするスペースも限られていたり、車検を自分でできることを知らなかったり、あるいはユーザー車検というものを知ってはいてもハードルが高いように思えるため、ディーラーや街の車屋さんにお願いし車検整備をして検査を通してもらう場合がほとんどではないでしょうか。
しかも2年に一度の車検費用ってバカにならないですよね? もちろん安全のために必要なお金はかける必要がありますが、かかる費用を抑えられるところは抑えたいですよね。
実際、自分で車検を通すことができれば「24ヶ月点検費用」や「車検代行費」の分が浮くことになり、それだけでも3~4万円くらいは費用が安く済みます。
でも、どの部品が本当に交換が必要で、どの部品は次回の交換に回しても大丈夫なのかって判断できず、ディーラーや車屋さんに勧められるがまま部品を交換すると、15万とか20万円とかなりの金額になってしまいます。
今回の記事では、ただ車検を安く抑えるだけでなく、安全に関わる重要な部分をおさえつつユーザー車検を行う方法についてお伝えするシリーズの第一弾になります。
車検のタイミングについて
ユーザー車検の準備をするためにも、車検を受けることができるタイミングについて知っておく必要があります。
車検は、車検証に記載されている「有効期限の満了する日」の1ヶ月前から可能になります。
この1ヶ月の間に検査を受けることで、検査を受けた日からではなく、車検証に記載されている日から2年間の公道での使用が可能になります。
陸運局は1年の中で3月が一番混雑しますので、可能ならこの期間を避け車検に行かれることをお勧めします
ユーザー車検合格までの流れ
事前の準備が肝心
まず、いきなり陸運支局に行ってユーザー車検にトライするのはやめておきましょう。
なぜなら、お金と時間が無駄にかかってしまうからです。
大抵、どこの陸運局も混雑しており予約が必要です。 車検当日も1時間並ぶというのも当たり前のところも多いです。
ですのでまずは、自分の車が検査の基準を満たしているかどうかを事前にチェックしましょう!
点検:外観のチェック
まずは外側のチェックを行います。
以下のチェックは、陸運局で行われる順番を想定していますので、覚えておくならユーザー車検当日スムーズに検査を行うことができます。
ワイパー&ホーン
- ウォッシャー液の噴射とワイパー(ワイパーを噴射する穴全てから出ているか確認、ワイパーもゴムが切れていたりしたらアウトなので水はけが悪ければ交換しておきましょう)
- ホーンのチェック (ちゃんと大きな音で鳴るかチェックしましょう)
- タイヤ: 溝が十分あるか確認します。
- ホイール: ノーマルであれば特に注意することはありませんが、社外品に交換している場合は「JWL」「JWL-T」「VIA」など保安基準を満たしているマークがあるか確認しておきましょう。
ホーンに関しては、社外品の音色が途中で変わるようなものは車検対応していませんのでご注意ください
灯火類のチェック
- ウィンカー とハザード: 右、左と順に点灯を確認しますが、このとき前後やミラーなど点灯するはずの全ての箇所をチェックしましょう)
- ヘッドライト: まずは、スモール[車幅灯]前後、ナンバー灯、すれ違い灯[ロービーム]、ハイビーム[上向き]の順でチェックします
- ブレーキランプ: この時、ライトのスモールを点灯した状態で行い、スモールとブレーキそれぞれがしっかり点灯しているか確認します
- バックライト: シフトレバーをバックに入れた時
- その他: フォグライトやバックフォグなどがあれば点灯するか確認
点検:車内のチェック
室内にもいくつかチェックしておく必要があり、実際の車検の時にも検査員の方がチェックしますので不備がないように準備しておきましょう。
- メーター内: キーをonにした時、関係する全ての警告灯が点灯するのを確認し、エンジンを始動した時には警告灯が消えるのを確認する。警告灯にはブレーキ,ABS,エアバック,エンジンなどがあります。
- ガラス: フロントやサイド(フロント3面)のガラスにフィルムやステッカーが貼られている場合は剥がしておきましょう。
- シートベルト: シートベルトを装着したときに、メーター内の警告灯が消えるか確認しましょう。また、後部座席のシートベルトも座席の奥に挟まっていたりして使えない状態では検査不合格となってしまいますので、乗車人数分のシートベルトが使える状態にあるようにしておきましょう。
- 荷物: トランクの荷物は少量なら問題ありませんが、仕事用の工具箱など大きいものは、あらかじめ下ろしておく事をおすすめします。
- 発煙筒: 大抵助手席の足元に刺さっていますが、有効期限も確認しておきましょう。
エンジンルーム内の点検
陸運局ではライト周り、室内の検査が終わった後、ボンネっとを自分で開けてエンジンとボディーに刻印されている番号を検査員の方が確認します。
また、車の下回りの検査もあり、この時にエンジン関係やボルトなどの緩みがないかチェックされます。
- 冷却水の確認: 近年ロングライフの冷却水が使用されていることが多いので通常7~10年くらいは無交換で大丈夫ですが、使用期限の確認と水漏れを起こしていないかをチェックしておきましょう。
- 油脂類の確認: エンジンオイル、オートマオイルなど油脂類の漏れがないか確認しましょう。にじみ程度であれば車検時には問題ありませんが、もし滴るほど漏れてきているなら早めの修理をしておきましょう。
- 排気漏れの確認: エンジンの出口からマフラー部分の出口まで排気漏れを起こしていないかチェックしましょう。特に年数の経過した車両では溶接の繋ぎ目などから漏れることがあります。
排気漏れのチェックは一人が、雑巾などで軽くマフラーの出口を押さえ、もう一人が車の下を覗き込み、音を確認したり、怪しい部分は手をかざして確認することができます。言うまでもないことですが、火傷には十分お気をつけください。
以下は車検時に検査員の方にはチェックされるポイントではありませんが、車検点検の点検項目に入っていますので、しっかり確認しておきましょう。
- エンジンオイル: 5000キロごとに交換しましょう。
- ブレーキオイル: 2年毎の交換をお勧めします。ブレーキオイルの交換ができない方は修理工場に依頼することをお勧めします。
- オートマオイル: エンジンが十分に暖まった状態でオイルの量、汚れ具合を確認しましょう。走行距離と吸う意匠されている交換時期を確認し、早めのオイル交換をおすすめします。
- ベルト類: 緩みや、亀裂が入っていないか確認します。使用時期にもよりますが、問題なさそうに見えても4~5年経過していたら交換をおすすめします。
- エアークリーナー: 汚れ具合を確認します。部品も安価なので、定期的に交換しましょう。エンジンのコンディションや燃費を良好に保つことができます。
- スパークプラグ: 近年、10年はメンテナンスフリーなものも多くなっています。ボンネットの裏にあるラベルか、メンテナンスノート(車の取扱説明書と一緒になっていることが多い)にプラグに関する表記がありますので確認しておきましょう。エンジンの調子が悪く感じなくても、プラグの隙間が大きくなって(1.1mmが標準)いたり、4年以上使用しているのであれば、交換をおすすめします。
下回りの点検
車の下まわりは普段見えないところでもあり、ブレーキなど安全に関わる部分もありますので特に重要なポイントといます。
- ブレーキ残量: 前後4輪のブレーキの残量がチェックします。ディスク式であれば残り3mmくらいになっていれば交換しておいた方が無難でしょう。後ろがドラム式である場合は固定用のナットがカシメられていたり割りピンで固定されていたりしますので、自信のない方は業者に依頼しましょう。
- ブレーキホース: オイル漏れがないかはもちろんのこと、ブレーキホースに亀裂が無いか、変な膨らみが無いかなどチェックしましょう。
- ブーツ類: ドライブシャフトやボールジョイントのブーツがひび割れてグリスがはみ出してきていたら車検には通りません。各アームやシャフト部分にあるゴムパーツをしっかり確認しましょう。
ボールジョイントブーツやドライブシャフトブーツはヒビが入っているように見えても、グリスがはみ出ていなければ車検には通ります。とはいえヒビ割れしていれば次回の車検点検の時までもつかどうかわかりませんので、早めに交換しておきましょう。
交換する部品について
点検の結果、部品交換の必要が生じたらどうすれば良いのか?いくつか方法をお伝えしたいと思います。
ある程度、ご自身で交換される場合
部品を調達する場合、モノタロウがおすすめです。
私もよく利用するのですが、ホームページ下部にある「自動車部品検索から探す」をクリックすると車検証に記載されている「型式」「型式指定番号」「類別区分番号」の3つを入力しするだけで、自分の車にあうパーツを選択し購入することができます。
しかも、安価な社外パーツはもちろんのこと、純正部品も購入することができます。また地域にもよりますが2日以内には届くことがほとんどなので、是非利用を検討してみて下さい。
しっかり点検する自信がない場合
上記の点検をユーザー車検前に行い、ブーツが破れていたり、ライトが点灯しないなどの不具合があれば事前に交換しておきましょう。
ここまでの内容で、ご自身で点検を行い車検を通す自信がない場合、あるいはご自身の車に不具合がないか心配な場合はニコニコ車検に車検をお願いすることをお勧めします。
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まとめ
ユーザー車検の前段階である、点検についてお伝えさせていただきました。
少し長くなりましたが、事前の準備をしっかりと行い、車の整備をばっちり行っておくなら、車検当日は手順に従って行うだけですので、後が楽になると言えます。
次回は陸運局での内容をまとめたいと思いますので、そちらの記事もよろしくお願いします。